この記事では、口座凍結の仕組みや影響、解除時期や回避方法などを詳しく解説します。
債務整理をすると、自分の口座が凍結されることがあります。
これは、債権者が裁判所に申し立てをして、自分の資産を差し押さえるための措置です。
しかし、口座凍結は必ずしも避けられないものではありません。
また、凍結されたとしても、影響を回避する方法があります。
債務整理をお考えでしたら、ぜひ参考にしてください。
口座凍結とは、銀行があなたのお金を使えなくすることです。
銀行があなたの口座に対して「ロック」をかけるというイメージです。
銀行は、あなたがお金に困っているときや、お金が悪い人に使われそうなとき、あるいはあなたが亡くなったときなどに、口座凍結をします。
銀行は、あなたの口座に入っているお金の情報をコンピューターで管理しています。
コンピューターは、あなたがお金を使おうとすると、あなたの口座がロックされているかどうかをチェックします。
もしロックされていたら、お金を使わせません。
これは、あなたやあなたの家族のために、お金のトラブルを防ぐためです。
口座凍結されると、あなたのお金を引き出したり、振り込んだり、カードで支払ったりすることができません。
口座凍結を解除するには、銀行に必要な書類を提出したり、裁判所に申し立てたりするなどの手続きが必要です。
手続きは、口座凍結の理由によって異なります。
ロックを解除するには、銀行がコンピューターに指示を出す必要があります。そのためには、銀行があなたの状況を確認する必要があります。
口座が凍結されるケース
債務整理の対象となる借金をしている銀行や、その銀行グループの消費者金融から借り入れている場合です。
この場合、債務整理の手続きが始まると、銀行は債務者の口座を凍結し、預金を借金の返済に充てます。
口座が凍結されないケース
借り入れをしていない銀行や、債務整理の対象にならない銀行の口座を持っている場合です。
この場合、口座は通常通り利用できます。
また、債務整理の種類によっても口座凍結の対象が異なります。
任意整理の場合
債務整理の対象にする借金を選べるため、凍結を回避したい口座があれば、その口座に紐づく債務を対象から外すことができます。
個人再生や自己破産の場合
原則としてすべての債務が対象になるため、口座凍結を避けることはできません。
具体的な事例としては、以下のようなものがあります。
Aさんは、A銀行からカードローンを利用していました。
しかし、返済が困難になり、任意整理を決断しました。
Aさんは、A銀行の口座には給与が振り込まれていたため、凍結を避けるために、A銀行の債務を任意整理の対象から外しました。
その代わり、B銀行からの借り入れを任意整理の対象にしました。
この場合、A銀行の口座は凍結されず、B銀行の口座は凍結されました。
Bさんは、B銀行から住宅ローンを利用していました。
しかし、仕事を失い、返済ができなくなりました。
Bさんは、個人再生を選択し、住宅ローン特則を利用して、住宅を手放さずに返済を続けることにしました。
しかし、B銀行の口座は個人再生の手続きが始まると、凍結されてしまいました。
Bさんは、別の銀行の口座を開設して、給与や公共料金の振込先を変更する必要がありました。
Cさんは、C銀行の子会社であるC消費者金融から借り入れをしていました。
しかし、利息が高くて返済が苦しくなり、自己破産を申し立てました。
Cさんは、C銀行の口座も持っていましたが、そこには借り入れはしていませんでした。
しかし、C銀行の口座は自己破産の手続きが始まると、凍結されてしまいました。
Cさんは、預金の残高をすべて失ってしまいました。
債務整理で銀行口座が凍結される期間は、債務整理の種類によって異なります。
一般的には、以下のようになります。
任意整理の場合
約1~3ヶ月。
債務整理の対象とした銀行やその保証会社からの借金について、銀行の保証会社が代位弁済を行うまでの期間です。
個人再生の場合
約3~6ヶ月。
債務整理の対象となる全ての銀行からの借金について、裁判所が再生計画案を認可するまでの期間です。
自己破産の場合
約6~12ヶ月。
債務整理の対象となる全ての銀行からの借金について、裁判所が免責決定をするまでの期間です。
この対策は、債務整理を依頼した弁護士が債権者に受任通知を送る前に行う必要があります。
受任通知とは、債務整理の手続きに入ることを債権者に知らせる通知で、これを受け取った銀行は債務者の口座を凍結し、預金と債務を相殺することができます。
相殺とは、債務者の預金を借金の返済に充てることで、債務者と債権者の間の債権債務関係を解消することです。
例えば、口座凍結時に債務が60万円残っており、預金額が20万円だった場合は20万円分が相殺されて、残る債務は40万円となります。
このように、相殺されると預金は減少またはゼロになってしまう可能性があるため、受任通知が送られる前に口座の預金を全て引き出しておくことが重要です。
引き出した現金は、生活費や返済に充てるために手元に置くか、凍結されない別の銀行の口座に移しておくことができます。
この対策も、受任通知が送られる前に行う必要があります。
口座が凍結されると、預金の引き出しはもちろん、給料の振り込みや公共料金などの引き落としもできなくなります。
給料の振り込みができないと、生活に必要な現金が不足することになります。
引き落としができないと、延滞料金が発生したり、サービスの停止や解約などの不利益が生じることになります。
このようなトラブルを避けるためには、凍結される可能性のある口座を給料の振込先や引き落とし口座に指定している場合は、凍結されない別の銀行の口座に変更するか、現金払いに切り替えることが必要です。
給料の振込先を変更するには、勤務先に事前に依頼をする必要があります。
引き落とし口座を変更するには、各サービス提供者に事前に連絡をする必要があります。
債務整理をすると、どのような場合に口座が凍結されるのですか?ここに質問を入力
債務整理をすると、借り入れをしている銀行や、その銀行グループの消費者金融からの借り入れがある場合に、その銀行の口座が凍結される可能性があります。
また、債務整理の種類によっても口座凍結の対象が異なります。
口座が凍結されると、どのような不利益が生じますか?ここに質問を入力
口座が凍結されると、預金を引き出せなくなったり、預金が借金と相殺されたり、給与や公共料金などの振込みや引き落としができなくなったりすることがあります。
これらは、生活に大きな影響を与えることがありますので、注意が必要です。
口座が凍結される前に、どのような対策をとることができますか?ここに質問を入力
口座が凍結される前に、できるだけ早く以下の対策をとることがおすすめです。
債務整理をすると口座凍結のおそれがありますが、事前に対策することで影響を最小限におさえることができます。
この記事でご紹介した方法や注意事項を理解したうえで、債務整理を進めてください。
ただし、口座凍結を防ぐための対策は慎重におこなわなければいけません。
まずは依頼先の弁護士または司法書士に相談したうえで、適切に対策されることをおすすめします。