この記事では、債務整理すると転職にどんな影響があるのかについて解説します。
債務整理をすると、転職や就職に影響があると思っていませんか?
半分当たりで、半分は間違いです。
確かに一部の職種では影響があります。
しかし、多くの職種では債務整理が影響することはありません。
まずは、債務整理が転職にどのような影響を及ぼすのかについて考えていきましょう。
債務整理したことについて、履歴書や職務経歴書に書く必要はありません。
もちろん、面接で聞かれるということもないでしょう。
ただ、債務整理の種類(任意整理や自己破産など)によっては、国が発行する「官報」に名前や住所が掲載されます。
そのため、転職先が官報を購読しているような業種であれば、債務整理の事実を知られている可能性はあります。
しかし、ほとんどの職種では官報など購読していませんし、目を通している人も稀でしょう。
官報を購読しているような職種としては、金融期間や保険会社など、他人の財産にかかわるような業種があげられます。
また、弁護士や公認会計士など資格制限がある業種では、債務整理したことが採用の障害になります。
逆にいえば、上記のような条件に該当しない職種なら、債務整理したことが転職に影響することはありません。
あなたがどんな職種への転職を目指しているのかは分かりませんが、ほとんどの場合では心配しなくて大丈夫です。
筆者は自己破産の手続き開始とともに仕事を辞めました。
そして、次の会社に就職して半年後に破産手続開始決定となりました。
もちろん、次の会社への就職には何の影響もありませんでした。
債務整理の事実を自分から話さなければ、まったく影響はないのです。
債務整理と転職するタイミングは、借入状況によって最適な時期がことなります。
具体的には、債務整理の種類によって転職に適さないタイミングがあるということです。
簡単にまとめると、以下のような制限が考えられます。
自己破産の場合
免責(返済義務が不要となること)が許可されるまでの数か月間は、資格制限や就業制限があるので、転職活動は難しいでしょう。
個人再生の場合
裁判所の手続きが必要なので、出廷日や手続きの進捗によっては仕事を休まなければならず、転職活動に支障が出ます。
任意整理の場合
債権者との交渉がスムーズに進めば、転職に影響することはほとんどないはずです。
ただし、上記の債務整理手続きは弁護士に依頼した場合が前提となります。
債務整理は本人でも手続きは可能ですが、借入先からの督促が止むことはありません。
弁護士に手続きを依頼しなかった場合、転職活動の真っ只中に催促の電話がかかってくるもあります。
転職が先か、債務整理が先かと問われれば、まず債務整理をしてから転職を考えた方が良いでしょう。
自己破産や個人再生の場合、あなた自身が裁判所に出向かなければいけないケースがあります。
しかし、債務整理の手続きは弁護士に依頼するのが一般的ですから、あなた自身が手続きのために会社を休むような状況にはなりません。
実際、私は自己破産の手続き中は一切、裁判所に出向いたり、債権者と面談するようなことはありませんでした。
債務整理をしたことが会社にバレたとしても、債務整理を理由に解雇されることはありません。
ただ、会社によっては昇進や配置転換される可能性はあります。
たとえば、お金を扱うような部署に所属している場合は、債務整理したことがマイナスとなるかもしれません。
経理部や営業部などはお金を扱いますので、債務整理したことがバレれば立場上厳しくなるでしょう。
しかし、自分から話さない限り債務整理がバレることはありません。
裁判所が会社に連絡するようなことはありませんし、債権者が取り立てにくるようなこともありません。
あくまで債務整理の手続きを弁護士に依頼していることが前提ですが、債務整理の手続きを弁護士が受任すると、債権者は債務者(あなた)に対して請求することができなくなります。
これは、弁護士があなたの代理人となったため、すべての連絡は弁護士に対しておこなわなければいけないからです。
もしもルールを破って会社に連絡したり、取り立てに出向くようなことがあれば、その貸金業者は認可を取り消されることになります。
ただし、以下のような場合には債務整理を疑われる可能性はあります。
まず、会社から借り入れがある場合には債務整理したことがバレる可能性が高いです。
とくに、自己破産の場合は会社も立場上「債権者」となるため、あなたに借金を踏み倒されたことになります。
債権者平等の原則により、会社はあなたに対する貸付金額に応じて返還請求できるのです。
また、自己破産した場合はあなたの財産をすべてあきらかにする必要があります。
あなたが勤める会社に退職金制度があるなら、退職金も財産とみなされてしまいます。
退職金の概算を知るには、会社に「退職金見込み証明書」を用意してもらわなければいけません。
退職金見込み証明書とは、退職する際に支給される退職金の額を明示した証明書をいいます。
通常、退職金見込み証明書を発行する機会はないため、疑いの目で見られる可能性はあります。
いずれにせよ、自分から積極的に話さない限り、債務整理したことがバレる心配はありません。
また、自己破産や個人再生のように影響が大きい手続きではなく、借入先ごとに債務整理すべきか選べる「任意整理」による解決がおすすめです。
私は自己破産したため、退職金見込み証明書を会社に用意してもらいました。
「自宅をリフォームするため、ローン契約に必要だから」という適当な理由で用意してもらいましたが、内心は疑われていたかもしれません。
自己破産した当時勤めていた会社はすでに退職したため、今となっては確認するすべもありませんが。
債務整理後に転職するにあたっては、以下の点についても気をつけておきましょう。
まずは、転職先が働きやすい環境であることが大切です。
対人関係が良い職場であることは、働くうえで必須の条件といえます。
もしも転職先の上司が厳しい人だったり、自分より若い上司の元で働くことになれば、少しずつストレスがたまっていくでしょう。
もちろん、あなたが「そんなこと気にしない」という強靭な精神の持ち主であれば別ですが。
もしも対人関係に疲れてしまったら、また転職を考えなければいけなくなる可能性もあります。
転職する前から働きやすさを知るのは難しいかもしれませんが、「口コミサイト」の情報などを参考にして、転職先について調べておくことは大切です。
転職先の給与が今より高くなることが理想ですが、せめて今と同じ程度の給与がもらえることが、転職するにあたっての条件になります。
ある意味、給与が少ないために債務整理することになったわけですから、今より安い給与の職場に移るメリットはほとんどありません。
「知り合いがいるから働きやすい」とか、「自分の経験が生かせる」というのは一つの条件にはなりますが、給与が下がってしまっては生活が厳しくなることが明白です。
とくに、任意整理や個人再生は安定した収入が得られることが前提ですので、収入が減れば生活費を削るほかありません。
また、自己破産した場合は基本的に「現金生活」となるため、身の丈に合った買い物が基本となります。
もしも転職先の給与が今より下がってしまったら、生活水準を大幅に下げる必要があります。
旅行や外食はもちろんですが、食費だって倹約メニューにせざるを得ません。
このような我慢だらけの生活が続けられるでしょうか。
転職するなら、今より給与が高いことは絶対条件だといえます。
転職先が今より遠方である場合も、少し考え直した方が良いかもしれません。
職場が遠ければ交通費だって増えますし、通勤時間がながければ疲れやストレスも溜まりやすくなります。
結局、通勤疲れが原因で仕事を辞めたくなる可能性もあります。
また、転職先が遠方である場合は「引っ越し」だって必要になるかもしれません。
職場が遠ければ、自宅から通勤するより転職先の近くで間借りした方が良い場合もあります。
しかし、債務整理後は返済が待ち受けています。
月々の返済があるうえに、家賃や光熱費を支払う余裕があるでしょうか。
転職先の仕事内容についても知りたい情報ですが、会社の立地が通える場所にあることも重要です。
債務整理後はお金の使い方をシビアにする必要がありますので、債務整理後は自宅から通える範囲にある職場に転職することをおすすめします。
債務整理後の転職はできますが、一部の職種や業種では注意が必要です。
債務整理と転職のタイミングは個人の状況によってことなりますが、借金問題は早めに解決することが大切です。
借金の悩みが頭にある状態では、新しい職場に転職できても集中して仕事に取り組むことが難しいからです。
債務整理を会社にバレずにすることは可能ですが、まずは債務整理に詳しい弁護士に相談して、適切な方法を選択しましょう。